【GT300】第5戦富士、終盤の劇的なオーバーテイクで今シーズン初表彰台を獲得!【動画】
今シーズン2度目の開催となるSUPER GT富士ラウンド。34号車Modulo KENWOOD NSX GT3をドライブする道上 龍選手、大津弘樹選手は、前戦のタイから『富士ではいい走りができるはず』という思いを抱いていた。
その最大の理由は、NSX GT3の武器であるストレートスピードの高さ。そして今季よりEvoキットを装着したことにより、マシンはリアタイヤの安定性が増したことで特に高速コーナーでのアベレージスピードが高まったという。富士スピードウェイのように長いストレートと高速コーナーが続くレイアウトでは、NSX GT3の武器が活かせるというわけだ。
いっぽう不安要素としては、タイで露呈されたブレーキの問題と、燃料消費である。ブレーキに関しては、500マイル(約800km)というレース距離に合わせてブレーキパッドの磨材やメーカーを変更したことで不安が解消されたとのこと。しかし燃料消費については目立った対策を施すことができないため、一定周回数ごとにピットインを行うオーソドックスな作戦でレースに臨んだ。
34号車にとって、今や予選Q1を突破することは高いハードルではなく、今回も道上選手が1分38秒326を記録しスムーズに突破。Q2は大津弘樹選手が1分37秒817をマークし、8番グリッドから決勝レースに挑む。
迎えた決勝レースで、スタートドライバーを務めたのは大津弘樹選手。レース序盤は、想定していたよりさらに高い気温や路面温度にタイヤがうまくマッチしなかったか、思うようにペースを上げることができない。その後しばらくは、スタート順位から少しポジションを下げた12位前後を走行する。
やがてルーティン通り道上選手へとドライバーチェンジを行い、給油そして4輪ともタイヤ交換を行う。そして2度のセーフティカー導入を経て、他チームとのピットタイミングの違いもあって34号車は順位を上げていく。GT300全車が最後のピット作業を終えるころには、スタート順位を大きく上回り、表彰台を狙える4位までポジションをアップしていた。
最後のスティントを担当した大津選手は、夕方を迎えて日中の熱気が穏やかになり、吹き抜ける風に心地よさを感じるようになるとタイヤとのマッチングもピークを迎え、ペースが向上。コース上のGT300マシンでは最速タイムを連発しながら、前を行くライバルを追いかけていく。
終盤にGT300クラスの表彰台争いは、18号車との一騎打ち。今年からNSX GT3にマシンをスイッチして参戦しているTEAM UPGARAGEである。ドライバーはGT500でも優勝経験のある小林崇志選手、タイヤも同じYOKOHAMAだが、マシンの理解度という意味では34号車に1年のアドバンテージがあり、絶対に負けられない相手である。
同じNSX GT3だけに、得意とする場所も同じ。146周目のストレートでスリップストリームから抜け出た大津選手は、1コーナーからコカ・コーラコーナー、そして100Rの進入までサイド・バイ・サイドの争いを展開。左右に連続するコーナーでは、イン側とアウト側が交互にやってくる展開となるが、お互いに相手のラインを残したクリーンなバトルを展開。
そしてついに34号車が18号車をパス! 表彰台圏内の3位に浮上すると、ピットではメカニックから大きな拍手も起こった。大津選手はその後もペースを緩めず、さらに前をいく2位のマシンを1周につき約1秒縮めるハイペースで追いかけるが、惜しくも届かずにチェッカー。34号車は3位でゴールした。
昨年のオートポリス以来、約1年ぶりの表彰台では道上 龍選手、大津弘樹選手ともに喜びを爆発! ここまで苦しいレースが続いていただけに、お互いに頭からシャンパンを浴びるパフォーマンスを見せた。
ちょうど1年前の富士ラウンドでは、不慮のアクシデントによりマシンが大破。決勝レースに出場することすら叶わなかっただけに、チームの喜びもひとしお。シリーズポイントは16点を加え、ランキング9位へとジャンプアップした。
レース後に取材に応じた道上選手と大津選手は、充実ぶりと安堵を感じさせる表情のなかにも次戦における連続表彰台にも自信を覗かせ、待望の初優勝も近いと感じさせるレースとなった。
◎2019 SUPER GT Rd.5(富士)予選ダイジェスト
◎2019 SUPER GT Rd.5(富士)決勝ダイジェスト
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)