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【動画】雷雨によりスタート延期のアイオワ300、ジョセフ・ニューガーデンが完勝! 佐藤琢磨選手は悔しいリタイア

全17戦で争われるアメリカのインディカー・シリーズは、はやくも終盤戦を迎えた。第12戦となる「アイオワ300」は、アイオワ州ニュートンにあるアイオワ・スピードウェイで開催された。

このアイオワ・スピードウェイは、全長0.875マイル(約1408.2m)のオーバルコース。といっても完全な楕円形ではなく、バックストレッチ部分が緩やかなカーブを描く「Dシェイプ」的なレイアウトとなっている。

バンク角は最大14度と大きく設計されており、2〜3ワイドでのコーナリングも可能。フェンスに【The Fastest Short Track on the Planet】の文字が描かれているように、ハイスピードかつ迫力あるバトルが見られるサーキットだ。2008年には武藤英紀選手が2位、2011年には佐藤琢磨選手が初のポールポジションを獲得するなど、ゲンのいいサーキットでもある。

この時期のアイオワは、日中は猛暑に見舞われることが多く、そのためアイオワ300は午後6時30分にスタートとなるナイトレースとして行われる予定だったが、今年はスタート直前にサンダーストーム(雷雨)が襲来。数メートル先の視界が見えなくなるほどの豪雨は1時間以上に渡って続き、雨が止むのを待ってからコースを乾かす作業が行われた。

すべての作業が終わり、レースがスタートしたのは夜もふけた22時45分。さすがに気温も路面温度も昼間に比べて大きく下がっており、各チームとも決勝レースに向けたセットアップがどのように機能するのか、手探り状態のなかスタートを迎えた。

予選でポールポジションを獲得したのは、今年のインディ500ウィナーであり、ここまで好調を維持するシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)。続く2番手にウィル・パワー、3番手はジョセフ・ニューガーデンと、ペンスキーが予選1-3位を独占した。4位にはホンダ勢最上位となる佐藤琢磨選手(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がつけており、決勝レースでも優勝争いが期待された。

すでに深夜にさしかかろうという時間のなか、レースはスタート。ポールポジションのシモン・パジェノーが先頭で第1ターンへ進入するも、バックストレッチでウィル・パワーがパジェノーを交わしてトップへ浮上。さらに4番手の佐藤琢磨選手は、大外から2台を抜いて2位に浮上する。

レース序盤はペンスキー勢のペースが圧倒的に速く、パワーとニューガーデンによってトップ争いが行われた。パジェノーは2台のペースにはついていけないものの、トップを窺える位置でレースを戦う。佐藤琢磨選手はタイヤの消耗が激しいのか、一時は2位までポジションを上げたものの、スタートと同じ4位〜5位で走行を続ける。

300周で争われるレースは、50周を過ぎたところで空から再び雨が落ち始め、55周目に赤旗中断。すべてのマシンがピットロードに整列される。しかし雨は長くは降り続かず、約30分後にレースは再開。そしてピットがオープンになると同時に、多くのマシンがタイヤ交換を行った。

その後もレースはペンスキー勢がリードするなか、佐藤琢磨選手はピット回数を減らしてタイヤを持たせる作戦に変更したか、徐々にポジションを下げていく。しかし上位陣のピット作業のタイミングもあり、折り返しとなる150周目には3番手まで順位を回復する。

しかし185周目にアクシデントが琢磨選手を襲う。セージ・カラム(カーリン)に後ろから接触され、マシンはスピン。幸いクラッシュとはならず走行を続けたものの、アンダーフロア部分を破損してしまいペースが上がらず、216周目にピットでマシンを降り、リタイアとなった。

レースはジョセフ・ニューガーデンがトップの座を安泰とするなか、2位争いはパジェノーとヒンチクリフ、そしてタイヤ交換のタイミングをずらしてロングスティント作戦を実行していたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が急浮上。

コース上で誰よりも新しいタイヤを履くディクソンは、前を行くマシンを次々とパス。最後のピットアウト時には6位だったが、トップのニューガーデンから約2秒差にまで迫る。

それでも今回のニューガーデンはドライバーもマシンも完璧。まるで後方との差をコントロールするように、約2秒のリードを保ったままチェッカーを受けた。

ジョセフ・ニューガーデン選手は、これで今季4勝目。シリーズランキングはトップを守っており、チャンピオン獲得に大きく近づいた。なお今回の佐藤琢磨選手は20位となり、シリーズ・ランキングは6位となっている。

佐藤琢磨選手コメント
「僕たちは好スタートを切ったものの、バランスは期待したほどよくなかったため、早めのピットストップを行いました。これはうまくいきましたが、他のドライバーに追突されて大きなダメージを負ってしまいます。僕は走行を続けようとしましたが、結果的には無理でした。素晴らしい仕事をしてくれたメカニックたち、そして夜遅くまでコースに残ってくださったファンの方々には申し訳なく思っています。とても残念でした。ライアンとウィルはサイド・バイ・サイドを演じていて、僕はそれを直後で見ていました。僕は少しスロットルを戻さなければいけませんでしたが、すべて順調でした。僕の後ろにいたドライバーは、そういった状況が見えなかったようです」

次戦の第13戦は、ホンダの北米における生産拠点のあるオハイオ州ミッドオハイオ・スポーツカーコースで行われる。ホンダの従業員も数多く訪れる伝統のレースであり、佐藤琢磨選手はじめホンダエンジン・ユーザーの活躍に期待がかかる。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)