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【現地レポート】ポールスタートも琢磨は失速、ニューガーデンが優勝

今年もインディカー・シリーズ全17戦の真ん中にあたる9戦目は、テキサス・モータースピードウェイで行われた。全長1.5マイル、バンクの急な高速オーバルでのレースだ。

予選では佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)がキャリア9個目のポールポジションを獲得。チームの実力アップがひしひしと感じられるパフォーマンスだった。

昨年のテキサス・ウィナーであるスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が予選2位。続く3位と4位も、それぞれセバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)とライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が獲得。ホンダ勢がトップ4を独占した。

ポールポジションを獲得した佐藤琢磨選手を先頭に決勝レースがスタート

しかし、レースではジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が作戦勝ち。スタートから琢磨やディクソン、さらにはハンター-レイがトップを走り続け、予選が今ひとつだったアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)とコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)が目覚ましい走りっぷりで上位に進出して行っていたのだが……。こういう劇的なシナリオも起こり得るのがインディカー・シリーズだ。

決め手を欠いて8番手を走行していたニューガーデンは、248周のレースの137周目、フルコースコーション中にピットイン。このタイミングでタイヤを新しくし、燃料も満タンにしたことがアドバンテージになった。トップグループは燃費セーブでスピードを上げ切れない戦いをこの後強いられたためだ。同じラップにブルデイとルーキーのマーカス・エリクソン(アロー・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)もピットしたが、彼らはニューガーデンに匹敵するスピードがなかった。

予選2位からスタートしていたスコット・ディクソンはクラッシュで戦列を去った

レースが残り50周を切ってから、ニューガーデンの背後にディクソン、ロッシ、ハータが接近。これらホンダ勢の中から逆転勝利を飾る者が現れるとみられた。ところが、226周目のリスタートでアウトから仕掛けたディクソンとニューガーデンが接触。ディクソンはバランスを崩し、それによって接近して来たハータが、229周目にディクソンのインに飛び込んでスライド。2台は絡みながら壁にクラッシュした。

これでニューガーデンの敵はロッシだけ。最後のリスタートとなった236周目からは2人の激闘になった。ロッシのスピードは間違いなくニューガーデンに優っていたが、ターン1で真横に並ぶところまでは行くものの、完全に前に出てトップを奪うことができない。そうした攻防が繰り返された結果、ニューガーデンが0.8164秒差で今シーズン3勝目へと逃げ切った。

表彰式で笑顔を見せるチーム・ペンスキーの総帥、ロジャー・ベンスキー

「チームが最高の作戦で勝たせてくれた。僕らのマシンは速かった」

ニューガーデンはそう語っていたが、この日最速だったのは序盤の60周をリードした琢磨か、最多の90周でトップを走ったハンター-レイ、あるいは予選10位から2番手争いまでポジションを上げたハータ、そしてトップ争いをしたロッシだった。

インディ500以降、安定した成績を挙げているアレクサンダー・ロッシ

「トップ争いにいなかった相手に負けたところが悔しい。燃費でもスピードでも今日は僕らの方が優っていたのに」

そのロッシは、インディ500からの4戦で3回目の2位となり、悔しさを隠そうとせずにそう語った。

3位は予選9位だったグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)。序盤は集団の中で我慢の走りを続け、終盤のバトルでポジションを上げて今季初の表彰台に上った。そして、4位はルーキーのサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)で、キャリア最上位フィニッシュ。5位はハンター-レイ。トップ5を見てもウィナー以外はホンダ勢だった。

ニューガーデンとチーム・ペンスキーは、作戦力と幸運を武器にチャンピオンシップ争いをリードしているが、このままタイトルまで突っ走れるだろうか? 

(text:Hiko AMANO 天野雅彦)
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