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【現地レポート】デトロイトのダブルヘッダー・レース1で琢磨が3位表彰台!

1982年から88年はF1グランプリとして、1989年からはインディカーのレースとして、デトロイト・グランプリは開催されてきている。1992年からはサーキットがダウンタウンのストリートからベル・アイル公園内に作られる特設ロードコースに変わった。

アメリカ自動車業界の不況が深刻になってレースが3年間開催されないこともあったが、今年30回目の開催を迎えた。近頃では公園内の設備も充実し、食事やグッズの出店も増え、ファンを呼べるイベントになっている。

デトロイトということで、冠スポンサーはシボレー。しかし、地元でプレッシャーがかかるから……というわけでもないのだろうが、シボレーはデトロイトでの成績が良くない。7年間13レース(2013年からダブルヘッダー)で5勝8敗。しかも、この2年続けてホンダがダブルヘッダーの両レースを制している。つまり4連敗中だ。

しかし今年は、レース1でジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が優勝。シボレー関係者を大喜びさせた。さすがニューガーデンは”持ってる男”だ。

ウェットコンディションで始まったレースで、スリックタイヤに交換するためにピットしたタイミングで、偶然なのかフルコースコーションが発生。誰もパスしないでトップに立った彼は、そこからゴールまでアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)の執拗なアタックを跳ね返し続けた。ロッシにパスさせなかったのはさすがのドライビングだし、マシンの仕上がりも素晴らしかったが、ロッシが前だったら、はたして抜けたかどうか……。

このレースで3位に入ったのが佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)。インディ500の終盤でロッシを追いかけた琢磨が、デトロイトでも彼のテールに迫った。最終的にはトップ2に引き離されたが、2戦連続のトップ3フィニッシュで琢磨はタイトル争いを展開中だ。

デトロイト・グランプリは土日それぞれに決勝レースが行われるダブルヘッダー形式で、翌日曜日のレース2は快晴下でスタートした。こちらのウィナーはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。

ほとんどのドライバーがソフトタイヤ装着でスターティンググリッドに着き、1周目に多重クラッシュによりイエローが出ると、ピットに雪崩れ込んでハードタイヤにスイッチした。

しかし、ディクソンはソフトのままコースにステイアウト。こちらのレースでもトップの奪取は、その時点までで1台も抜いていないドライバーによって達成された。

ディクソンは、そこからソフトタイヤでのロングランに敢えて挑戦。燃費セーブも成功させ、ベテランらしい、5度のチャンピオンになっているドライバーらしい勝利を飾った。

ニューガーデンはアクシデントで後退。ロッシにもレース1と同じだけの速さはなく、2位はルーキーのマーカス・エリクソン(アロー・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が安定した走りで入賞。3位はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)のものとなった。

琢磨はレース2の予選が16位と悪かったが、展開をうまく味方につけて3番手まで浮上。3戦連続3位も可能に思えたが、ピットストップに時間がかかって後続の接近を許し、そこからは負のスパイラル。バトル中に他車とヒットし、自分だけタイヤ・パンクでさらに後退。ゴール前3周のリスタートから2台を抜いたが、フィニッシュは13位となった。

これで8戦が終了した時点でシリーズ・ランキングのトップはニューガーデン(2勝)=316点。2番手がロッシ(1勝)=301点。3番手がシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)(2勝)=291点とトップ3は25点という小さな差の中にいる。さらに4番手のディクソン(1勝)は264点、5番手は琢磨(1勝)で255点と続いている。

サポートイベントのIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップでは、アキュラ・チーム・ペンスキーのアキュラARX-05(ファン・パブロ・モントーヤ/デイン・キャメロン組)が優勝。前戦ミッド・オハイオからの2連勝を飾った。

(text:Hiko AMANO 天野雅彦)
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