【動画】NSX専用工場で製造される「アキュラTLX PMCエディション」は新世代のタイプRか!?
2019年4月17日に開幕した「ニューヨーク・モーターショー2019」において、ホンダはアキュラ・TLXのスペシャルモデル、『ACURA TLX PMC edition』を発表した。
アキュラTLXとは、2014年に発表されたホンダの高級ミッドサイズセダン。前身モデルであるTLを含めれば、誕生は1995年まで遡る。初代および二代目アキュラTLは、インスパイア/セイバーとして日本市場へも導入され、アコードよりひとまわり大きなボディで高い快適性と運動性能を誇った。その後は2015年モデルにて現行のTLXへと進化するが、TLXの発表は2014年のニューヨーク・オートショーで行われた。
そのTLX発表からちょうど5年目を迎える今年のニューヨーク・オートショーにて発表されたTLX PMCエディションは、現行NSXの専用工場であるPMC(パフォーマンス・マニュファクチャリング・センター)にて職人たちがハンドメイドで組み立てるスペシャルモデル。
ベース車両のTLXはFFおよびSH-AWDモデルをラインナップするが、そのトップグレードである3.5リッターV6&SH-AWD搭載モデルをベースに、各種特殊装備やNSXと同じクオリティの特別な塗装が施されている。
カーボン製リアスポイラーをはじめとした外観装備は、基本的にTLXのスポーツグレードであるA-specと同等。しかしグロスブラック仕上げとされた19インチホイールやルーフパネル、ドアハンドル、フォグランプベゼルなどで独自性をアピール。さらにアキュラのファミリーフェイスである「ダイヤモンド・ペンタゴン・グリル」も、周辺部はボディ同色とされるほか、内側はグロスブラック塗装となる。
インテリアでは、シートにプレミアム・ブラックミラノレザーとアルカンターラのコンビ素材を採用したほか、ステアリングと合わせて各部にレッドステッチが施される。センターコンソールには、360台限定を示すプレートも装着される。
驚くべきは、このTLX PMCエディションの製造工程のほとんどがハンドビルド、つまり職人による手作業で行われている点だ。標準モデルのTLXはアメリカンホンダのメアリズビル工場にて生産されるが、PMCエディションの場合はホワイトボディをPMC(パフォーマンス・マニュファクチャリング・センター)に持ち込んで製造される。
第二世代NSXの生産を行うために建設されたPMCは、少量生産のスーパースポーツを生産すべく最新のロボット生産設備と、特別な技能を誇る職人とが共存する次世代工場。そのPMCにて生産されるTLX PMCエディションは、パワートレインやサスペンション、電装部品、インテリア部品、ボディパネルといったパーツの組み付けを手作業で行い、その後にワイヤレス通信が可能なデジタルトルクレンチで締め付けを行う。
これにより締め付けトルクを精密に管理することができるだけでなく、車両個体ごとにボルト一点一点のトルク実績が記録され、組立工程の品質が保証されるという。
またTLX PMCエディションのボディカラーは、現行NSXのイメージカラーである「バレンシアレッドパール」に塗られるが、この塗装工程もNSXと同じ。高度なロボット塗装システムにより複数回の塗装が行われ、完成までは5日間を要するという。
その製造工程などを紹介したプロモーション動画も公開されている。
このTLX PMCエディションの価格は、5万ドル前後と発表されている。現在の為替レートでいうと約560万円であり、職人によるハンドビルドと考えるとお買い得価格かもしれない。いっぽうでエンジンやトランスミッション、サスペンションといった動力性能に関する部分についてはTLX A-specから変更はないため、市場がどう反応するかは興味深いところ。なお同様のPMCエディションは、このあとSUVのMDXにも設定されることが明らかになっている。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)