アメリカ仕様の歯ブラシに見る、アメリカ式「歯考」
アメリカのスーパーマーケットやドラッグストアを見て回るのは楽しい。
昨シーズンの終わり頃、日用品スーパーのターゲットで「なんだこりゃ?と」という歯ブラシを見つけた。アメリカのはヘッドの部分が大き過ぎるので敬遠してたんだけど、コルゲートの製品にプラスティックのブレードみたいの(名称不明)が毛の中に植えられてる新テクノロジーを発見! 隣りに並んでたオーラルBのも似たコンセプト。両方買って、使ってみた。
コルゲートのは凝っていて、太さや硬さ、形状の異なる4種類の毛が植えられている。先端の毛が一番柔らかく、両サイドにやや硬め、ブレードの外周がさらに硬めで、ブレードの内側=中心部は一番ハード。オーラルBのも環状植毛は同じ。ブレードはなしで、毛は外側は柔らかめで中が硬め。先端が一番柔らかい。
コルゲートのはフロスティップと名付けられた柔らかく、細く、尖った毛はデンタルフロスのように歯間のクリーニングをして、ブレードは歯の表面をギュッとグリップして汚れを落とす役目を果たすらしい。オーラルBのは、真ん中に柱のようにまとまっている硬めの毛がコルゲートのブレードと同じ役目のよう。ヘッドの大きさは相変わらずだけど、コルゲートのは電動で、単四電池1本とは思えないパワフルさ。両方とも今回のアメリカ取材に持ってきている。
今年またドラッグストアで歯ブラシコーナーをチェクしたら、オーラルBに見たことないモデルがあった。『歯垢99パーセント除去』というフレーズに「凄いじゃん!」と思ったら、よく見るとその上下に『最大』そして『掃除の行き届きにくいエリアの』という小さな文字が。
通しで読むと、「掃除が行き届きにくいエリアの歯垢を最大で99パーセント除去」と、パッと見とまるで意味が違う。
「ウソは書いてない」ってだけで、表示法違反とかじゃないの? とは思うものの、毛の束が方向を違えられて植えられている点とか、一番外側に『歯茎にソフトマッサージ効果を与える』らしい、片側5本のラバーあるいはプラスティック製の細い棒状が装備されてるところにそそられて、またしても購入。
さっそく使ってみると、見た目よりも歯茎に与えられる刺激はマイルドで心地良かった。
白い歯が好きなアメリカ人。仏頂面をしていると「歯を見せて」=「笑って」というアメリカ人。歯並びが悪いと育ちが悪いと決めつけられる国だ。だから、歯の矯正をしている人をよく見る国。
「シリコン製マウスピースで簡単に矯正」なんて商品を最近テレビコマーシャルで見たし、歯磨き粉の種類は以前からやたらと多いと感じてた。実はアメリカの歯磨き業界、日本よりずっと進んでいるのかも。アメリカ人は、歯に対する意識が日本人より実は高いってことかもしれない。
(text:Hiko AMANO 天野雅彦)
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