【18SEMA】レースでも”世界最速FF”を証明したシビックTCR
新車発表がメインとなるモーターショーとは違い、アフターマーケットパーツの展示会であるSEMAでは、ホンダブースにもカスタムモデルや、モータースポーツ関連の車両が数多く展示される。そんななか、ブース中央に近い”特等席”に展示されたのがシビックTCRだ。
世界選手権のWTCRや日本のスーパー耐久でもおなじみのCIVIC TCRは、アメリカ国内でもピレリタイヤのワンメイクレース・シリーズ『ピレリ・ワールドチャレンジ(PWC)』に参戦している。
PWCは1990年にスタートしたレースで、GT3/GT4/TCRなど市販カスタマーレーシングカーのカテゴリーで争われる。2019年はアメリカで10戦、カナダで1戦の全11戦が予定されている。
日本ではスーパー耐久シリーズに参戦しているシビックTCRは、このPWCのTCRクラスに参戦。ホンダ、アウディ、VW、そしてヒュンダイという4メーカーのマシンで争われたシリーズで、REALTIME RACINGの43号車をドライブするライアン・エバースレーが、みごとにドライバーズチャンピオンに輝いた。
シビックTCRはFIAの世界統一規格に基づくマシンであるため、特徴的な前後オーバーフェンダーやルーフスポイラーなどの外観はスーパー耐久に参戦していた車両と基本的に同じ。ワイド化されたボディは、ベース車両のシビック・タイプRからさらに迫力が増している。
5穴タイプのPCDを持つホイールはOZレーシング製の前後18インチ×10J。ブレーキも専用品でF:380mm径、R:260mm径のローターにそれぞれ6ポット/4ポットキャリパーを組み合わせる。タイヤはピレリP-ZEROスリックだ。
リアウイングはテールゲートに二本のステーでマウントするGTタイプ。素材はカーボン製で細かな角度調整が可能になっている。シビック・タイプRではルーフに備えられるボルテックスジェネレーターは、シビックTCRでは装備されていない。
マフラーはシビック・タイプR同様のセンター出しだが、マフラーエンドは1本出し。車体裏側に空気を積極的に流すためか、ディフューザーも備わるリアバンパー下部は高く設計されている。
公道モデルのシビック・タイプRをベースしているとはいえ、シビックTCRはレース専用車両であるためインテリアは外観以上に違いが大きい。ライト点灯やウインカー操作、チームラジオなどはすべてステアリング上に備わるボタンで行われる。またトランスミッションもパドルシフト付き6速シーケンシャルとなるため、Hマークの左にニュートラルボタンがある。
2018年にはアメリカのPWC、そして日本のスーパー耐久でチャンピオンを獲得したシビックTCR。ベース車両であるシビック・タイプR(FK8)は、ドイツのニュルブルクリンク北コースにおける『世界最速FF』を掲げてデビューしたが、市販FFレーシングカーの最高峰といってもいいTCRクラスでも、シビックは”世界最速FF”であることを証明した。
まもなく開幕する2019年のレースシーズンにおいても、シビックTCRは世界最速FFの座を守ることができるのか、期待が高まる。
(photo&text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)