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【GT300】Modulo KENWOOD NSX GT3が初表彰台!!

2018年10月20-21日の週末、2018 SUPER GT第7戦が大分県のオートポリスで行われた。

10月20日(土)に行われた予選は、初秋らしい快晴の青空。しかし気温15度と抑えめで、ときおり吹く風は肌寒く上着がほしくなるという状況。路面温度も日差しほどは上昇しないことが予想され、各チームともタイヤチョイスに頭を悩ませるコンディションとなった。

前戦の第6戦(SUGO)で今シーズンベストとなる4位入賞を果たした34号車Modulo KENWOOD NSX GT3は、予選Q1を道上 龍選手が担当。ライバルチームのアクシデントにより赤旗中断の時間も発生するなど荒れた展開となったが、5番手のタイムで無事にQ2へと進出。Q2を受け持った大津弘樹選手は7番手のタイムを刻み、翌日の決勝へ挑むこととなった。

予選終了後も、翌日の決勝レースに備えてピット前ではタイヤ交換の練習が重ねられていた

翌日の決勝レースも、オートポリスは抜けるような青空。雨の心配はなさそうだが、夕刻が近づくにつれ気温がぐっと下がることが予想されており、タイヤマネージメントやピットインのタイミングが勝負を分ける展開が予想された。


天候にも恵まれた今年のSUPER GT(オートポリス)には過去最大となる来場者が訪れ、決勝レース前に行われたピットウォークではまさに足の踏み場もないほどの混雑となった。GT300のなかでも多くの人気を誇り、また今回はチーム初表彰台も期待できるポジションとあって、ドライバー2人のサイン会が行われる時間帯には、34号車Modulo KENWOOD NSX GT3のピット前に長い行列ができるほど。

そしてピットスタートの31号車を除くGT500/GT300の全マシンがグリッドに整列したのち、地元大分県警察の先導によるパレードラップ、セーフティカー先導のフォーメーションラップを終えて、定刻の14時に65周のレースがスタートした。

スタートドライバーを担当したのは、道上 龍選手。前日の予選Q1では5番手のタイムを記録するも、マシンのフィーリングはイマイチとのことだったが、スタート直後にひとつ順位を上げ、その後に0号車がピットインを行なったため4周目には5位に浮上する。

その後、20周目に他車がコースアウトしたためセーフティカーが導入。再スタート後は、61号車のSUBARU BRZ R&D SPORTと10号車GAINER TANAX triple a GT-Rとバトルを展開するも、チームは早めのピットインを行うことでコースの空いているタイミングでマシンをピットアウトさせようと判断。26周めにピットインを行なった。

このピットインについては、走行していた道上選手とチョン監督との間で何度も無線のやりとりがあったらしく、決め手となったのは『タイヤの保ち』とのこと。事前の想定よりもタイヤのタレが少ないため、レースの半分以上を走ることになっても、大津選手ならスピードをキープできるだろうと判断したそう。

ピット作業では前後輪とも4本のタイヤを交換し、燃料補給を行ってピットアウト。前日のピット練習では、4本/前2輪/後2輪交換など、様々なパターンを想定し練習していた効果が現れ、チームは最短のピット作業時間で大津弘樹選手を送り出す。

早めのピット作業ということでコース復帰時は17位だったが、大津選手は前戦のSUGOと同様にハイペースで前をいくライバルたちを猛追。やがてライバルチームがピットインを行う時間帯をすぎると、48周目には65号車 LEON CVSTOS AMGをかわして4番手まで浮上する。

前をいくライバルを猛追する大津弘樹選手。スーパー耐久TCRクラスのシリーズチャンピオンも獲得し、今やノりにノっている!?

そして最大の見せ場がやってきたのは、残り10周を切ってから。3位を走行していた11号車GAINER TANAX GT-Rとの差は周ごとに縮まっていくも、ドライバーは実力派の平中克幸選手。ピットで見守る道上選手も『行け!』と応援するなか、残り4周となった1コーナーで見事にパス! その後もスピードを緩めることなく、3位でチェッカーを受けた。

チームとしてGT300参戦初年度、さらにドライバーの道上選手&大津選手はともにGT300初参戦という「初づくし」ながら、当初の目標であった『表彰台獲得』を見事に達成。チェッカーフラッグが振られる瞬間、道上選手やチョン監督ほかチームスタッフが笑顔で34号車Modulo KENWOOD NSX GT3を迎えると、隣のピットからは武藤英紀選手も祝福に訪れた。

2015年にチーム監督とドライバーとしてGT500を戦った道上選手と武藤選手。チョン監督の無線を拝借(!?)した武藤選手は、チェッカーを受けた大津選手に労いの言葉をかける

待望の初表彰台では喜びを爆発させるとともに、決勝レース中にもっとも素晴らしい活躍をしたチームに送られる「J SPORTSベストパフォーマンス賞』の受賞も発表された。

参戦初年度にも関わらず、シーズン終盤にきてチーム力が急激に向上。前戦の第6戦SUGOでは4位、そして今回の第7戦オートポリスではついに3位表彰台を獲得した34号車Modulo KENWOOD NSX GT3。最終戦はホンダの地元であるツインリンクもてぎ。先日に2日間のテストも行い、多くの走行データが得られていることから、さらなる高みが期待される。

2018 SUPER GT第8戦(ツインリンクもてぎ)は、11月10-11日に開催される。


道上 龍選手
「スタート直後に3コーナーでアクシデントがありましたが、気をつけていたので巻き込まれることなく走行できたので安心しました。レース前はタイヤライフに関して不安もありましたが、走ってみると意外と保ちが良く、『イケるな』と。ピットインのタイミングに関しては、このコンパウンドのタイヤをしっかりマネージメントすれば最後まで保つという確信が持てたので、4輪とも同じスペックのものに交換して、大津選手にはコースの空いている場所で気持ちよく走ってもらおうと決めました。大津選手が3位のマシンを追いかけているときは、彼の今後のレース人生を考えても大事な場面だから、極端な話、飛び出してもいいしミスしてもいいから、絶対に仕掛けろと思っていました。正直なところ、レース前はちょっと厳しいかな…とも思っていたので、初めての表彰台という結果はとても嬉しいです。次に繋がるレースができました。最終戦まで引き続き応援よろしくお願いします」


大津弘樹選手
「まず、表彰台に登れて本当に嬉しいです。もちろん僕だけの力ではなく、今シーズンは色々あったなかでチームとして諦めずに戦ったおかげだと思います。決勝は作戦もベストな戦略でしたし、ピット作業も早かった。後半スティントが長めになることも、道上さんから『タイヤは最後までいける』とアドバイスをもらっていたので、安心して攻めていけました。チーム一丸となって戦えたレースだと思います。とはいえ僕たちが目指しているのやはり「優勝」なので、まだあと一戦残っている最終戦を、表彰台の一番高いところで迎えられるように引き続きがんばります」


チョン・ヨンフン監督
「初めて走るサーキットだったのですが、色々なコンディションを予想してセッティングのパターンを考えていました。予選日の朝のフリー走行では思った通りにいかず、午後の予選に向けてセッティングを見直したのですが、思ったいたほど効果が得られないようでした。そのなかで7番手スタートは悪くない結果でしたが、より上を目指して予選後にセッティングを見直しました。決勝前の20分間のフリー走行で試したのですが、これも納得のいく感触が得られず、決勝レース直前で大幅にセッティングを変える賭けにでました。リスクを背負った選択でしたが、決勝レースのコンディションにうまく作用してくれ、またタイヤも長く保ってくれたことで今回の結果が得られたと思います。シーズン後半になり、マシンも序盤戦のころよりまとまってきた自信はあります。最終戦はノーウェイトとなりますが、公式テストでのデータを生かし、初優勝を目指します」

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)