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【NOC22】雨の第12戦(岡山)、道上選手も応援に駆けつけた!!

前回、ツインリンクもてぎで開催されたN-ONEオーナーズカップ第11戦において、ついにレーシングドライバーとしてデビューした、2018 Moduloスマイルの安藤麻貴ちゃん! すっかりその魅力に惹かれ、第12戦(岡山国際サーキット)にも連続参戦が決定!

しかし、岡山国際サーキットを走るのは以前に体験走行で一度走っただけ、もちろん当時は普通の市販車両だったうえ、コースレイアウトもほとんど忘れてしまっていたため、参戦決定後にシミュレーターで特訓するなど、入念な準備をしていった麻貴ちゃんだったのですが……。

無常にも大会期間中の天気予報は「雨」。そしてその予報は無情にも当たってしまいました。

N-ONEオーナーズカップ第12戦(岡山)は、9月9日(日)に予選と決勝を行う1day開催。しかし前日の8日(土)には30分間の専有走行が2回設けられており、ドライビングコーチの中山友貴選手を含む41台が走行。もちろん、#89 KENWOOD Modulo N-ONEを駆る安藤麻貴ちゃんも参加しました!

今回からリアウィンドウ部分に自身の名前が入った89号車で果敢に攻める麻貴ちゃん。ウェット路面は限界が低くなるものの、マシンの挙動はわかりやすく想像していたほど怖くなかったとのこと

秋雨前線の影響で雨模様の予報となっていましたが、8日(土)の専有走行1本目はまだ薄曇りという感じ。しかし空は今にも降り出しそうで、専有走行2本目は完全なウェット路面での走行となりました。

もちろんウェットレースは初体験な麻貴ちゃんですが、カートでは何度も経験ずみ。また今回はレースの出走台数が41台ということで予選落ちが無く、心理的にラクなことも作用してか、専有走行での練習から快調な走りを披露します。

前回のツインリンクもてぎでは、予選に向けて緊張して寝られなかったという麻貴ちゃんでしたが、今回は専有走行で手応えを感じていたこともあってか、しっかりと熟睡。しかし迎えたレース日は、朝から天気予報どおりの雨となりました。

朝8時25分からスタートした公式予選は20分間。早朝から降り続いている雨により、コースはあちこちに水たまりや川のように水が流れているコンディション。そんななか、麻貴ちゃんは41台中33位で予選を通過します。コースに慣れればもう少しタイムアップは望めそうですが、雨はさらに強くなるいっぽう。。。

コースの各所に川が流れる状況、あちこちでスピンが続出。麻貴ちゃんの前を走っていた他車が足元をすくわれてスピン、でも落ち着いて危機回避しました

じつは今回、麻貴ちゃんにも危機一髪!という場面がありました。なんと前方を走行中のマシンが雨に足元をすくわれてスピン。このままでは追突してしまう…!! しかし麻貴ちゃん、そんな状況下でも落ち着いた走りを披露します。

『かなり路面が濡れていて滑りやすい状況で、目の前で他のクルマがスピンしたのでブレーキを踏んで回避しようとしたのですが、このままだと止まれないなってすぐに思って。これはスピンさせるしかないって考えて、ブレーキングしながら思いっきりステアリングを切り、その場でスピンさせて避けることができました』

走行後にそう教えてくれた麻貴ちゃん。う〜んコメントがもう完全にレーシングドライバーのそれです。前方で他車がスピンしたときは驚いたけれど、そのあとは冷静に対処できているあたり、さすがです。そして『わざとスピンさせた』というこの経験がきっかけで、滑りやすいコンディションでも限界点がよりわかるようになり、安心して走ることができたそう。

決勝へ向けてコースイン。しかし雨はどんどん強くなっていきます

決勝レースは、お昼すぎの12時10分からスタート進行が始まりました。この予選から決勝までの約3時間のインターバルを利用し、麻貴ちゃんはチームにリクエストを告げていたのです。それは「ガソリンを満タンにしてほしい」ということ。

スプリントレースの場合、マシンの重量増を避けるためにギリギリの燃料搭載量でグリッドに向かうのがセオリー。しかし今回は雨量が多く路面が滑りやすく、少しでもトラクションを確保して安定して走ることが速さへの近道というわけです。これもカートでの実体験から学んだことなんだとか。

そして雨はさらに強くなってきましたが、スターティンググリッドに到着した安藤麻貴ちゃんのもとに心強い援軍が!! なんと雨のなか、道上 龍選手が傘を持って(しかも走って!)コースの最新状況を伝えに来てくれたのです。

決勝レースのグリッドに来てくれた道上 龍選手。部分的に川のようになっているコース状況を教えてくれました。感動…!!

SUPER GTではModulo KENWOOD NSX GT3のドライバー&チーム代表として活動している道上選手ですが、今回は併催されている全日本F3選手権に参戦中のスリーボンド・レーシングのスーパーバイザーとして参加していました。

最強の援軍の登場にすっかり心強くなった安藤麻貴選手。しかしスタート直前になっても雨足は弱まらず、むしろ山間部らしい霧も立ち込めてきて視界が限られていたため、セーフティカー先導でレースがスタート。

セーフティカーに先導されるなか、回復を待ちながら周回を進めましたが、残念ながらそのままチェッカー。先導中の走行でペナルティを受けた車両があったため、決勝結果はひとつ上がって32位となりました。

安全が最優先とはいえ、事前にシミュレーターで特訓するなど入念な(!?)準備をして臨んだだけに、セーフティカー先導によるチェッカーはやっぱりちょっと残念そう。

『雨が強くて粒も大きかったし、視界が全然なかったので今回の対応はしかたがないというか、良い判断だったと思います。もちろん残念は残念ですけど、ちょっと安心もしたというか(笑) だいぶN-ONEの走らせかたもわかってきたので、ぜひまた走りたいのだけど…』

レース後にはそう話してくれた麻貴ちゃん。今シーズンのN-ONEオーナーズカップは残り3戦で、スポーツランドSUGO(9/29)、オートポリス(10/20)、鈴鹿サーキット(11/24)というスケジュール。そのうちオートポリスはSUPER GTと併催されるため、Moduloスマイルとしての活動が優先となる麻貴ちゃんは出場することができません。

『でも、このままじゃ今シーズンは終われないです!!』

レーシングドライバー安藤麻貴、はたしてSUGOか最終戦の鈴鹿に出場なるか!?

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)