【GT500】苦しんだタイのレース、粘りの走りで9位入賞
6月30日~7月1日の週末、タイ・ブリーラム県のチャーン・インターナショナル・サーキットにおいて、2018年スーパーGT第4戦が開催された。
スーパーGTシリーズで唯一の海外ラウンドとなるチャーン・インターナショナル・サーキットでのレースは、2014年に初開催されて以来、今年で5回目の開催となる。しかし2015年を除いて、これまでは10月近辺に開催されることが多く、異なる季節やウェイトハンデの量など、昨年までとは勢力分布図の違いが予想された。
そんななかレースウィークが開幕し、迎えた予選日の天候は晴れ。南国ならではの湿度と気温に悩まされるものの、ドライコンディションで午前中の練習走行が行われた。
しかしお昼を過ぎるころから、上空には黒い雲が目立ち始める。午後の予選まで天気は保つのか、それともウェットか…。
この公式練習では、64号車Epson Modulo NSX-GTは7番手のタイムを記録。レクサス勢優位が予想されるなか、上々の滑り出しといえた。そして予選開始時刻の直前になってサーキットは黒い雲に覆われ、大粒のスコールに見舞われた。
このスコールはすぐに止んだものの、一時は視界がほとんど遮られるほどの激しさとあってコースは全面ウェットコンディション。開始予定時刻から15分遅れでスタートとなったQ1は、ほぼ全車がレインタイヤでコースイン。
64号車Epson Modulo NSX-GTのQ1を担当したのは、ベルトラン・バゲット。序盤はウェットタイヤでアタックをし、1分31秒524というトップタイムを記録するものの、路面コンディションが回復するにつれスリックタイヤでアタックを試みるマシンが上位に名を連ねていく。バゲット選手もピットインしてスリックタイヤに交換するものの、タイヤを十分に暖める時間がなかったこともありタイム更新ならず。14番手で予選を終えた。
そして迎えた決勝。予選日と同様、朝から青空が広がった。定刻通り、15時ちょうどに決勝レースはスタート。64号車Epson Nakajima Racingのスタートドライバーは松浦孝亮選手が務めた。
14番グリッドからスタートした松浦選手は、予選でダメージを負ってしまったタイヤを装着しなければならないという状況もあり、タイヤを労りながら慎重に走行を続ける。そして27周目にピットインし、ベルトラン・バゲット選手へとドライバー交代を行なった。
バゲット選手は少しずつ前との差を詰めていき、53周目にはポイント圏内の10番手まで浮上。最終ラップで上位のマシンにアクシデントがあったことでさらに1つポジションを上げ、9位でチェッカーを受けた。この結果、2ポイントを獲得し、2戦連続のポイントゲットでタイラウンドを終えた。
中嶋 悟総監督コメント
「なんとかポイントを獲得するまで順位を上げてチェッカーを受けました。レース自体の内容は満足できるものでしたが、予選順位がやはり重要だと感じるレースでした。ただ、どんな状況でも今はしっかり走り切って積み重ねていくことが重要なので、次戦に向けてまた準備をして、上位を目指していきます。今回もたくさんのご声援をありがとうございました」
ベルトラン・バゲット選手コメント
「いいレースができました。 単独走行時のマシンバランスはとても良く、満足していましたが、他車のすぐ後ろを走行すると大きな問題がありました。 それはアンダーステアが強くなってしまう現象で、接近して走行することがとても難しかったです。なぜアンダーステア問題が発生したのかを分析し、富士のソリューションを考え出す必要があります」
松浦孝亮選手コメント
「何台か抜いていきたかったですが、追いついたあとダウンフォースが抜けるのがきつくて、なかなか苦しい走行を強いられました。タイヤに問題を抱えていたので、無理をすることもできず、確実に次へ繋げるよう意識してピットインまで走り切りました。次に向けての課題が新たに見つかるなど、収穫の多いレースウィークだったので、これを無駄にしないよう次戦も頑張ります」
(text:Honda Style magazine)