【S耐】#97 Modulo CIVIC TCR、今季最終戦を制す(1)
4月1-2日にツインリンクもてぎで開幕した今年のスーパー耐久シリーズも、いよいよ最終戦を迎えました。最終戦までもつれ込んだST-TCRクラスのシリーズチャンピオン争いは、#98 Modulo CIVIC TCRが大きくリードする形ながら、シリーズ中盤以降はライバルの追い上げも激しく、そしてもちろん#97 Modulo CIVIC TCRとの同門対決も目が離せません。
最終戦の舞台である岡山国際サーキットは、決勝レースが行われた10月15日(日)の朝9時半頃までは曇り空。しかし決勝レース前、ついに雨粒が落ちてきてしまいました。寒く秋雨が降るなか行われた決勝は、しかしそんな天気とは裏腹にすばらしいレースとなりました。
今回、#97 Modulo CIVIC TCRは伊藤真一選手・幸内秀憲選手・中野信治選手の3名を起用。なかでも幸内選手は、岡山の出身で誰よりも岡山国際サーキットを走り込み、熟知している強者です。
いっぽう、完走さえすればシリーズチャンピオン獲得となる#98 Modulo CIVIC TCRは、黒澤琢弥選手、加藤寛規選手の2名体制。石川京侍選手は前日の予選中に大きなクラッシュを喫してしまい、決勝当日の朝には元気な顔を見せてくれたほど体は無事だったものの、大事をとって決勝レースは欠場となりました。
13時45分、雨の影響によりセーフティカー先導でGr.1の決勝レースがスタート。3ラップ周回したところでセーフティカーがピットに入ると、グリーンシグナル点灯と同時に激しいバトルが展開されました。
#97のスタートドライバーを務めたのは、岡山サーキットを地元とする幸内選手。ライバル勢が1分52秒前後で走る中、幸内選手は1分50秒台をマーク。時折1分49秒台を出す快走で、わずか9周で後ろを走る#45 LIQUI MOLY RS3 LMSに対し12秒の差をつけるなど、後続車をどんどん突き放していきました。そしてスティント後半までペースを落とすことなく、約1時間30分、44周を走行したところで、2番手ドライバーの中野選手へステアリングを託しました。
幸内選手から中野選手へとドライバー交代を行ったタイミングで、#10 Racingline PERFORMANCE GOLF TCRとクラストップが入れ替わり、#97は追いかける形に。ピット作業終了直後は1秒程度だったギャップも、10号車の速さに一時は約7秒差まで広がってしまいます。
しかし中野選手は混雑したコースのなかでペースを上げると、10号車を交わして再びクラストップに立ちます。その後もペースは落ちず、#10に1分30秒以上のマージンを築くと、33周を消化してアンカーの伊藤真一選手へステアリングを渡しました。
(TEXT:Yuko ASHIZAWA 芦澤裕子)