【海外試乗】これぞスポーツミニバン! 新型USオデッセイ
インディカー・シリーズ最終戦(ソノマ)の取材を終え、フィットのHFP仕様ともお別れ。サンフランシスコからロサンゼルスへ移動し、次に試乗したのは2018年モデルでフルモデルチェンジしたオデッセイでした。
ご存知のとおり、北米市場で販売されるオデッセイは日本市場向けのオデッセイと車名こそ同じだけれど、車体は全然別モノ。ひと回り大きなボディにV6エンジンを搭載し、かつて1999年に日本市場へ「ラグレイト」の車名で販売されたモデルをルーツとするインターミディエイト・サイズのミニバンです。先代の4代目モデルからは、開発のすべてが北米で行われるなど、現行ホンダ車のなかでもっともアメリカンテイストが濃い1台といえます。
そんな新型USオデッセイ、まず圧倒されるのはそのボディサイズです。全長203.1インチ(約5159mm)×全幅78.5インチ(約1994mm)×全高69.6インチ(約1768mm)さらにホイールベースは118.1インチ(約3003mm)と、日本仕様オデッセイの全長4830×全幅1820×全高1685mm、ホイールベース2900mmに比べふた回りほど大きい。
ボディサイズの恩恵は主に室内空間の広さに現れていて、2&3列めシートの足元空間はとても広々。特に2列めシートは、身長180cmを超える僕でもゆったりと足を組んで座ることができます。そしてもちろん、後席だけでなくフロントシートのスペースにも余裕はいっぱい。その理由のひとつが、すっきりとまとめられたインパネの操作系です。
左ドアを開けUSオデッセイに乗り込むと、従来のミニバンの運転席に見慣れたシフトレバーが見当たりません。USオデッセイの2018年モデルは全車にNSXやレジェンド、アコードに採用されるボタン式シフトを採用しており、エンジンスタート後にDボタンを押すと自動的に電磁式パーキングブレーキが解除され、走り出すことができます。(テールゲートほか、どこかが半ドアだとPレンジに強制的に戻される)
USオデッセイのラインナップは全6グレード。全車が全車3.5リッターV6 SOHC i-VTECを搭載し、最高出力は280hp/6500rpm。トランスミッションはグレードにより2種類が存在し、試乗したEliteとTouringには10速AT、それ以外のモデルには9速ATが組み合わされます。その動きだしはまるで高級セダンのようにスムーズかつジェントル。そして粛々と走り出しながらエンジン回転が上がっていくにつれ、走りっぷりは徐々にスポーツ性が高まっていきます。
3mを超えるロングホイールベースを持つだけに、フリーウェイでの長距離走行は得意中の得意。レーンキープアシストやクルーズコントロールは操作性に優れているだけでなく、北米の(ときには)路面状態が良くないような道路でもまったくドライバーに不安を感じさせることがありません。細かい路地裏を走るような場面では、このボディサイズを持て余すこともありそうですが、残念ながら今回の試乗では、そういう場所を走ることがありませんでした。
(TEXT:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)