【海外試乗】USシビック・クーペ初試乗
新グローバルスモールプラットフォームを採用し、10代目にモデルチェンジしたシビック。セダンの登場の2か月後に市場に投入されたシビック・クーペを、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)の取材の足として持ち込んだ。
パイクスピークでの取材は、レースウィーク中に毎日標高4300mにもなる山に登る。それも、まだ日が昇る前の深夜にホテルを出発。ふもとのゲートを所定の時間前にくぐって道路が閉鎖される前に、所定のカメラマン・スポットにたどり着いていなければならない。
山道を急ぐこともあり、おまけに大量のカメラ機材も積み込み、それでいて天候の急変に備えてシェルターとしても活用できる。そんな過酷な使用に耐えられる車両ということで、ここ数年はSUVをパートナーに選ぶことが多かったが、今回はシビック・クーペを選んだ。
とはいえ心配だったのは、そのパワーユニットである。これまでよりも数値上ではパワーアップしているが1.5Lのターボ・エンジンだ。これに組み合わせるトランスミッションはCVTである。パワーユニットの力不足を危惧しながらのスタートだったが、結果を言うとこれがまったく問題はなかった。
レースウィーク中にある休息日を使って、日本人メディア数名で取材を兼ねて観光地を巡る。今回も大柄な男性4名での取材となったが、周囲は一般の来場者も多い観光地だけに、できればクルマは一台にまとめたい、ということに。そこで我々の目の前にあったのは、フォード・マスタングの2.3リッター直4エコブーストとシビック・クーペという2台だった。
ボディサイズはマスタングのほうがひと回りからふた回り大きいが、リアシートの空間は差がないのでは…と思う。さすがにセダンベースでしっかり作り込まれているだけのことはある。大人4名乗車ではさすがに広いとはいえないが、全然許容範囲内だ。おまけに車室内で気になるようなノイズも無し、である。
ボディサイズがよりワイドになったことで、クーペらしいグラマラスなスタイルが強調された。スタイリングが優先されるクーペにとって、このメリットは大きい。このサイズならアメリカ国内で決して見劣りするようなサイズではないけれど、残念ながら日本国内では少々大きいと感じるだろう。新世代のプラットフォームも剛性が高く、ハンドリングもしっかりとしていて好印象だ。正直なところ、日本導入の可能性は高くないだろうけど、シビック・クーペのデキは想像以上で、本当に日本へ持って帰りたくなってしまった!
(TEXT&PHOTO:Yoshiaki AOYAMA/青山義明)